「雨と薔薇と、三時間の記憶」

本日もお立ち寄りいただきありがとうございます。
京都点心福より、日々の小さな物語をお届けします。

今日は、雨の香りがしとしとと漂う、しっとりとした一日でした。
肌に優しく降る春の雨は、まるで季節の移り変わりを静かに語りかけてくるようです。

そんな中、近くの琵琶湖疏水沿いでは、薔薇の花が美しく咲き誇っていました。
雨に濡れて、より深みを帯びた赤やピンク、白の花びらが、まるで絵画のように並んでいて――
その光景に、ふと足を止めてしまうほどでした。

昨日は、その雨の合間を縫って、点心福の工房で動画撮影を行いました。
時間にして、三時間ほど。
蒸気の立ち上る音、包丁のリズム、焼売を包む手の動き――
ひとつひとつがまるで演奏のように、空間の中で響いていました。

この日の思いを、一首の短歌に込めました。

> 雨の香に　咲いては濡れる　薔薇の色
映す三刻　滴に込めて



工場の敷地内に薔薇はありませんが、撮影の帰り道、疏水沿いに咲く花が目にとまりました。
その風景が、まるで一日の締めくくりに「お疲れさま」と囁いてくれているようでした。

撮影に立ち会いながら改めて感じたのは、
どんなに忙しくても、心を込めることの大切さです。
職人の手の動きには、無駄がなく、それでいてどこか温かみがあります。

動画を通して伝えたいのは、「手仕事のぬくもり」。
機械では決して出せない、ふっくらとした蒸しあがり、包みの加減、蒸気の香り。
画面越しでも、きっと何かが伝わると信じています。

この三時間は、まさに点心福の心を映し出す時間となりました。
今後、編集を経て皆さまにお届けできることを、スタッフ一同楽しみにしております。

どうぞ、今日も温かく、美味しいひとときを。
また明日も、京都の小さな物語をお届けいたします。

京都点心福 拝