福々通信
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- 【2025年5月20日 晴れのち曇り 風は穏やかにそよぐ】
- 本日は朝から、塩焼売の仕込みに励みました。<br>数にして五百個。ひとつずつ丁寧に包みながら、塩加減を微調整し、皮の薄さと餡のバランスに心を配る作業が続きます。<br><br>蒸籠(せいろ)から立ちのぼる白い湯気は、まるで職人の思いが形になって現れたよう。静かに、そしてまっすぐに空へと昇っていきます。<br><br>仕込みの手を止めた昼下がり、小さな訪問者が現れました。<br>窓辺に舞い降りたのは、赤い甲羅のてんとう虫。つややかな背中に黒い斑点、静かな午後のひとときを彩るような、愛らしい姿でした。<br><br>てんとう虫は、古くから農作物を守る「吉兆の虫」とされてきました。<br>天道虫の名の通り、太陽の道を歩む縁起の良い存在。<br>この焼売工房に舞い込んできたことにも、何か意味があるのかもしれません。<br><br>現在は二十四節気で「小満(しょうまん)」。<br>万物が次第に満ち、草木が勢いを増す時期です。<br>田んぼには若苗が並び、空には夏の気配。虫たちは動き出し、季節の花もあちらこちらで咲き誇っています。<br><br>私たちが作る点心も、自然の巡りに寄り添いながら、そのときどきの空気を反映させています。<br>見た目の派手さではなく、素材と技、そして込める心によって味わいを生み出すこと。それが、私たちの誇りです。<br><br>本日の塩焼売もまた、素朴ながらも味わい深く、蒸し上がる湯気のなかに、季節の移ろいと職人の想いが宿っている一品となりました。<br><br>この焼売が、どこかの家庭で温められ、箸を運ばれ、誰かの笑顔に繋がる――そう思えば、日々の仕事にもいっそう身が入ります。<br><br>明日もまた、一つひとつ心を込めて、点心をつくり続けてまいります。<br><br>――春の余韻と、夏の兆しが重なる、静かで不思議な季節。<br>自然のリズムを感じながら生きる毎日に、あらためて感謝を込めて。<br><br><br>---<br><br>■本日の仕込み<br>・塩焼売 500個<br><br>#焼売 #餃子 #お取り寄せ #てんとう虫 #小満の頃
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- ― 流れ橋にて ― 心に残る風景と時間 ―
- こんにちは。<br>今日は少し足を伸ばして、京都・八幡市にある「流れ橋(上津屋橋)」へ行ってまいりました。前日の雨が上がり、朝から空気が澄んでいて、花々の香りが一層強く感じられました。薔薇が美しく咲き誇り、あたりにはどこか懐かしさを含んだ風景が広がっていました。<br><br>「流れ橋」とは、木津川にかかる全長約356メートルの木橋で、正式名称を「上津屋橋」と言います。この橋の最大の特徴は、川の増水時には橋板が外れて流されるよう設計されていること。流されても流されても、地元の方々の手で再建され、今日まで受け継がれてきました。その構造と歴史から、何度も映画や時代劇の撮影地として使われ、「時代を超える風景」としても知られています。<br><br>今回の訪問は、動画撮影を兼ねてのもので、約3時間、橋や川の流れ、風に揺れる草木の様子を丁寧に収めていきました。点心づくりという日常を一旦離れ、自然の中で過ごすこの時間は、心を整える貴重なひとときでもありました。<br><br>撮影の合間、橋のたもとで出会った薔薇の美しさに心を打たれ、自然と短歌が浮かびました。<br><br>雨の香に 咲いては濡れる 薔薇の色<br>映す三刻 滴に込めて<br><br>雨上がりの空気の中で、静かに咲いている薔薇。濡れた花びらに陽が差し込む瞬間の美しさは、言葉では言い表せないものがありました。三刻(およそ6時間)の撮影は、まさにその美しさを映し取るための時間であったように思います。<br><br>この「流れ橋」という場所には、何度も流され、そして立ち直るという、静かで力強い物語が息づいています。それは、まるで私たちの仕事や日常にも通じるものがあるように思いました。点心づくりもまた、一つひとつ丁寧に、時には失敗も乗り越えながら続けていくもの。何気ない毎日の積み重ねが、やがて一つの味となり、形となってお客様のもとへ届いていく――その過程を、あらためて大切に感じる一日でした。<br><br>これから夏に向かって気温も上がり、仕込みや作業の工夫もさらに求められる季節になりますが、本日感じた自然の美しさと「流れ橋」の静かな強さを胸に、またひとつひとつ丁寧に取り組んでいきたいと思います。<br><br>最後に、橋の上で聞いた風の音や川のせせらぎが、まるで遠く昔の声のように感じられたことを記しておきます。それはまるで、「変わらぬものも、変わりながら残ってゆくのだよ」と語りかけてくれるような響きでした。<br><br>皆様もぜひ、季節の移ろいを感じる旅へと、足を運んでみてはいかがでしょうか。
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- 「雨と薔薇と、三時間の記憶」
- <div tabindex="-1"><div cy="textMail">本日もお立ち寄りいただきありがとうございます。<br>京都点心福より、日々の小さな物語をお届けします。<br><br>今日は、雨の香りがしとしとと漂う、しっとりとした一日でした。<br>肌に優しく降る春の雨は、まるで季節の移り変わりを静かに語りかけてくるようです。<br><br>そんな中、近くの琵琶湖疏水沿いでは、薔薇の花が美しく咲き誇っていました。<br>雨に濡れて、より深みを帯びた赤やピンク、白の花びらが、まるで絵画のように並んでいて――<br>その光景に、ふと足を止めてしまうほどでした。<br><br>昨日は、その雨の合間を縫って、点心福の工房で動画撮影を行いました。<br>時間にして、三時間ほど。<br>蒸気の立ち上る音、包丁のリズム、焼売を包む手の動き――<br>ひとつひとつがまるで演奏のように、空間の中で響いていました。<br><br></div><div cy="textMail"><br>撮影の帰り道、疏水沿いに咲く花が目にとまりました。<br>その風景が、まるで一日の締めくくりに「お疲れさま」と囁いてくれているようでした。<br><br>撮影に立ち会いながら改めて感じたのは、<br>どんなに忙しくても、心を込めることの大切さです。<br>職人の手の動きには、無駄がなく、それでいてどこか温かみがあります。<br><br>動画を通して伝えたいのは、「手仕事のぬくもり」。<br>機械では決して出せない、ふっくらとした蒸しあがり、包みの加減、蒸気の香り。<br>画面越しでも、きっと何かが伝わると信じています。<br><br>この三時間は、まさに点心福の心を映し出す時間となりました。<br>今後、編集を経て皆さまにお届けできることを、スタッフ一同楽しみにしております。<br><br>どうぞ、今日も温かく、美味しいひとときを。<br>また明日も、京都の小さな物語をお届けいたします。<br><br>京都点心福 拝<br></div></div><div><div></div></div>
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- 【つばめと蒸籠と、初夏の風に包まれて】
- <br>皆さま、こんにちは。<br><br>気温も少しずつ上がり、初夏の空気が町を包みはじめました。青空を見上げれば、つばめが元気に飛び交っています。小さなくちばしで藁や枝を集めては、軒先に巣を作る姿――そんな風景に出会うと、なんだか心が和みます。<br><br>最近は、私たちの工場近くにもつばめが顔を出すようになり、柱の上を見上げたり、梁を確認したりと、どうやら巣の場所を探しているようでした。素材を集めて、納得のいく場所を見極めてから、丁寧に巣を仕上げていく様子は、私たち点心職人の仕込みの姿勢にも通じるものがあります。<br><br>さて、本日も工場ではたくさんの点心が蒸籠に並びました。<br><br>だし焼売450個、えび焼売450個――合計900個の焼売を仕込みました。<br><br>だし焼売は、京都らしく昆布と鰹から丁寧に取った一番だしをたっぷり使い、豚肉の旨みをやさしく引き出しています。噛んだ瞬間に広がる、まろやかな香りが特徴です。<br><br>一方のえび焼売は、ぷりっとした食感とほんのりとした甘みが魅力。海老の旨味と食感を引き立てるよう蒸しあげています。蒸しあがった焼売から立ちのぼる湯気は、まるでつばめの羽ばたきのよう。ふわりと空へ舞うような香りに、工場中が包まれました。<br><br>そんな朝、ふと思いついて一句詠みました。<br><br>> 巣を結ぶ つばめにまじる 蒸気かな<br>春の名残と 夏の兆しと<br><br><br><br>季節の移り変わりを、こうして点心を作りながら感じることができるのは、この仕事の醍醐味です。湯気、香り、手の感触――どれも「いまこの瞬間」だけの尊いものです。だからこそ、一つひとつ丁寧に包み、心を込めて蒸し上げています。<br><br>私たちの点心が、だれかの食卓で笑顔につながっていれば――それほど嬉しいことはありません。<br><br>今後も、つばめたちが子育てをするように、私たちも大切に、一品一品を育ててまいります。<br><br>どうぞ、これからも京都点心福をよろしくお願いいたします。<br><br><br>---<br><br>#つばめの季節 #だし焼売 #えび焼売 #点心日和 #京都点心福 #伏見の台所より #点心職人の春 #湯気とともに #つばめと共に
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- 【春の満月に寄せて -月と月餅のお話-】
- こんにちは。京都点心福で日々点心づくりに携わっております、点乃(てんの)と申します。<br><br>春の京都は、桜が舞い散り、木々の新芽がやわらかな緑をのばす、美しい季節を迎えております。伏見の台所も、筍や山菜といった春の恵みに囲まれ、台所仕事の手も自然と弾んでまいります。<br><br>さて、先日の4月13日は「満月」の夜でした。けれども空はあいにくの曇り模様で、楽しみにしていたお月さまは雲の向こうに隠れたまま。名残惜しい気持ちで、しばし空を眺めておりました。<br><br>この時季の満月は「ピンクムーン」と呼ばれています。実際に月が桃色に輝くわけではありませんが、欧米では春に咲くフロックスという花にちなんで名づけられたそうです。日本でも旧暦では「卯月の望月」と呼ばれ、春の満月は特別な意味を持っていたと聞きます。<br><br>満月といえば、やはり「月餅」を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。月餅は本来、中秋節(秋の満月)に供える中国の伝統菓子ですが、「京都点心福」ではこの春の季節にも、満月に思いを馳せながら月餅を丁寧に作っております。<br><br>当店の月餅は、本場のものよりもやや小さめで、日本の方のお口にも合うよう甘さを控えめに仕上げております。白餡や黒餡の定番はもちろん、栗や胡桃、季節の果実を取り入れた変わり餡もご用意しております。見た目も小ぶりで上品ですので、贈り物やお茶の時間のお供にも大変ご好評をいただいております。<br><br>職人たちは一つ一つ、まるで月の満ち欠けに心を重ねるように、丁寧に皮をのばし、餡を包み、焼き上げます。その手仕事は、日々の忙しさの中にあっても静かで穏やかな時間を運んでくれます。<br><br>13日の夜には満月が見えなかったものの、翌日の十四夜、さらに十五夜には澄んだ空に美しい月が浮かびました。厨房の窓からふと空を見上げると、まあるく輝くお月さまが、静かに夜を照らしてくれていました。<br><br>点心づくりも、どこか月と似ているなあと感じます。「満ちる」ときがあれば「欠ける」ときもある。形も味わいも、余白を大切にすることで、より豊かになるものだと思います。そのバランスを大事にすることこそが、私たち職人の仕事の真髄だと、日々あらためて感じております。<br><br>月は昔から、人の想いを映すものとして愛されてきました。誰かを想って見上げたり、遠くの人へ願いを届けたり……。私たちの作る月餅も、そんなふうに、どこかで誰かの心に寄り添える存在になれたらと願っております。<br><br>季節はこれから、新緑がまぶしくなる初夏へと向かっていきます。ですが夜空を見上げれば、変わらず、あのやさしい光が照らしてくれることでしょう。次の満月も、そして秋の中秋節に向けても、心を込めて、月餅を包み続けてまいります。<br><br>「月餅」は、ただのお菓子ではありません。季節のうつろいと、遠く離れた人々の想いをそっとつなぐ、小さな橋のような存在です。<br><br>今夜もまた、一つひとつ、まあるいお月さまを思いながら、手のひらにやさしく包み込んでおります。<br><br>京都点心福 点乃(てんの)<br><br><br>---<br><br>#ピンクムーン #満月と月餅 #京都点心福 #春の和菓子 #点心職人の手仕事 #お月さまに想いを #伏見から届ける味
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- 【竹の花と、春のくしゃみ】
- <div tabindex="-1"><div><div cy="textMail">この春、伏見の竹林で竹の花が咲いているのを見かけました。<br>竹は百年に一度、花を咲かせ、そのあとは静かに枯れていくといわれています。<br>その儚い命のサイクルを感じると、春の訪れがいっそう深く感じられます。<br><br>ところで、この季節、花粉症に悩まされる方も多いかと思いますが、私もその一人。<br>竹もイネ科に属しているため、花粉が飛ぶ時期は特に辛いものがあります。<br>目がかゆくなり、くしゃみが止まらない日々が続いています。<br><br>今年は、タケノコの収穫量も少ないように感じますが、自然のリズムには逆らえません。<br>その中でも、日々の点心作りは変わらず大切にしていきたいと思っています。<br><br>春の風を感じながら、今日もひとつひとつ丁寧に仕込んでいきます。<br><br></div></div></div><div><div></div></div>
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- 【琵琶湖疏水の風に包まれて――本日の餃子仕込みより】
- <div tabindex="-1"><div><div cy="textMail">京都点心福 点乃の台所だより<br><br>皆さま、こんにちは。<br>雨上がりの伏見は、澄んだ空気に新緑が映える、美しい朝を迎えました。琵琶湖疏水の水面は静かにゆらぎ、風が吹くたびにキラキラと光を反射させて、まるで季節の移ろいを映し出す鏡のようです。<br><br>そんな疏水沿いを歩いておりますと、水辺に一羽のキンクロハジロが。<br>黒と白のコントラストが美しく、渡りの途中でひと休みしているようでした。京都の街では、こうした季節の訪れを告げる生き物たちとの出会いが、日常の中にそっと彩りを添えてくれます。<br><br>さて本日、私たち「京都点心福」の厨房では、二種類の餃子を仕込みました。<br><br>ひとつ目は「九条ネギ餃子」。本日は1,200個を仕込みました。<br>京都の伝統野菜として知られる九条ネギは、今の時期、甘みが増してやわらかく、加熱するととろけるような舌ざわりになります。この九条ネギを豚肉とあわせて丁寧に包み込んだ餃子は、シンプルながら奥深い味わい。蒸しても焼いても、ネギの香りと肉の旨味がじんわりと広がり、食卓に春の余韻を運びます。<br><br>ふたつ目は「紫蘇餃子」。こちらは1,000個の仕込みとなりました。<br>香り高い青じそを刻み、餡にたっぷりと練り込みました。紫蘇は加熱しても風味が残るよう、刻む大きさや混ぜるタイミングにも細かな工夫を凝らしています。包んで蒸し上げた餃子は、ひと口食べると爽やかな香りがふわっと立ち、これからの暑さを迎える季節にぴったりの一品です。<br><br>本日の仕込みでは、アレルギーへの配慮も徹底しております。<br>甲殻類などのアレルギー対応として、エビやカニなどを扱う日とそうでない日を分けて作業を行い、器具や調理台も専用のものを使用しております。お客さまに安心して召し上がっていただけるよう、日々の衛生管理にも力を入れております。<br><br>餃子や焼売といった点心は、単なる料理ではなく、季節を映す一皿だと私たちは考えています。<br>その日の空気、その日の香り、そして仕込む人の気持ちまでも包み込んで、ひとつひとつ手作業で丁寧に仕上げることが、京都点心福の信念です。<br><br>今日の餃子たちも、いずれ誰かの食卓へと運ばれ、「おいしい」と笑顔を引き出す存在になってくれることを願いながら、わたしたちは一つひとつ心を込めて包んでいます。<br><br>疏水に映る春の名残と初夏の光。<br>季節の香りをまとう餃子たちを、ぜひ味わってみてくださいませ。<br><br>本日もありがとうございました。<br>また明日、伏見の台所から、旬の便りをお届けいたします。<br><br>#京都点心福 #九条ネギ餃子 #紫蘇餃子 #手作り餃子 #季節の点心 #琵琶湖疏水 #渡り鳥のいる風景 #点心のある暮らし #春と初夏のあいだに<br><br></div></div></div><div><div></div></div>




